１０月の表紙
善明庵の松 秋田県 横手市 下八丁字北 松林１５０ |
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幹周３．６ｍ、樹髙１５ｍ、枝張り１９ｍ、推定樹齢３２０年
夕暮れ時に訪れたのだが、抜群のシルエットを見せてくれた。樹体はそれほど大きくはないのだが、上部まで真っ直ぐ太さを変えずに聳え、太く曲がりくねった枝を四方に配している樹型は、まことに見事であり、樹齢の古さを感じさせてくれる。欠頂し、先枯れしているものの、なるほど県指定の天然記念物だけのことはある、と思わせてくれた。鉄柱で囲まれて支えを受けているのだが、幹をスギ皮でぐるりと覆われているのが気になった。何か傷害があって、目隠しとして覆われているのなら、樹にとっては良いことではないからだ。皮の周りから計った周囲は３．６５ｍあった。２００５
巨木仲間より、「２０１２年４月の暴風によって幹割れして傾いてしまった。」という情報をもらった。あわててネットで調べると、６月の段階では部分的に緑も残っており、秋田大学の教授は「この木はまだ生きており、今後枝を整理し、負担を減らしながら、存続させていくべきだろう」との話をしたとのことで、わずかに期待を抱きつつも、その写真を見る限り、これでは無理だろうとの感触も強かった。
はたして、やはり枯れていた。幹割れの状態は想像以上に深刻であり、外周部の健全材は10㎝にも満たず、もともと螺旋状に亀裂のあったところが、木理と逆方向にねじられてバックリと割れてしまった様である。内部は腐朽の進行がひどく、空洞以外の材も殆ど粉状になっていた。これでは物理的強度だけでなく、生理上必要な水の吸い上げにも支障をきたす状況に見えた。また、木理が座屈、ばらばらになり、水の通り道がずたずたに切れてしまったものと考えられる。一部でもつながっていれば、まだ、生存の望みもあったのだろうが・・・亀裂は、かすがいの様なもので補強してあったが様だが、こんなものは気休めでしかない。アカマツの木理は年輪を重ねるにつれて変化する。老木の場合は、中心部はやや左巻き、徐々に真っ直ぐから右巻きに移行し、外周部はかなりの右巻きになっているのが基本パターンである。この3種類の木理が組合わさった状態は非常に強度があるが、内部が腐朽した結果、片巻き木理になってしまうと、ねじれと反対向きの力には極めて弱いと言うのがよく分かった。アカマツの名木がまた１本失われてしまったのは、はなはだ残念である。
幹周りは杉皮の上から計測して３．７４ｍになっていた。なお、見た目の印象から樹齢を350年程度と推定していたが、地上10m程度の大枝断面の年輪は260余であったので、もう少し若いかもしれない。２０１２
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