４月の表紙
羽茂の大松 新潟県 佐渡 羽茂町 大橋 |
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東大寺大仏殿の梁には２本の赤松大木が使われている。このことからも元来、アカマツと云う樹は枝下が高く、巨大木造建築物で欠かせない長大な材を得ることが出来る樹種であった。ところが現在、このような巨大なアカマツは全て刈り尽くされ、材としての価値が低かった多幹の巨木が僅かに残されているにすぎない。その中で、本来のアカマツらしさをもったアカマツ大木が、近年まで佐渡の山中にあった。
地元の人に何度も道を尋ねながら目指していると、遠くに美しい半球形の樹冠が目に留まった。傾斜部分に生育し、根本付近には大きな傷があったが、5.10mの幹周は単幹のものとしては当時国内有数の太さをほこっていた。主幹は枝を出さずに太さを保ちながらまっすぐ伸び、他の木々の上部で半球状の美しい樹冠を広げ、樹高22m以上、枝張り22m以上の偉容を誇っていた。樹林の中に立っているので全景を見通せないのだが、裏側のミカン畑からだと、その見事な枝振りが観察できた。解説版には樹齢７００年とも記されており、大枝も良く残っていて枝振りの健全なところ、樹勢の良好な点など全国有数のアカマツの名木であると言える。（１９８８）
残念ながら既に松枯れ病により失われ、もはやその雄姿を見ることは出来ない。
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