１０月の表紙
蛇王の松 青森県三戸郡田子町椛山 蛇王神社 |
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幹周5.01ｍ、樹髙22ｍ、枝張り25ｍ
国内最大級（第3位）のアカマツとの触れ込みで報道されたこともあって注目していたのだが、詳しい所在地が分からず、衛星写真からそれらしい樹冠に目星を付けていたものの、せっかく訪問しながらたどり着けない事態は避けたいと思っていた。そこで、東北巨木調査研究会の「田子の小熊」氏に連絡したところ、幸運にも案内をしていただけることになった。糀山集落脇の林道のような道をしばらく入って行くと、左手に朽ちかけた鳥居があり、ここが蛇王神社の入り口であり、沼の縁に沿って歩けばすぐに蛇王神社にたどり着ける。「蛇王の松」は大げさな名前にも名前負けしないだけの迫力のあるアカマツ巨木であり、5幹に分かれる大幹は、さらに上部で別れているので、合計8つの幹、つまり八岐大蛇になぞらえるのも「なるほど」と思わせるものがある。分かれた幹は、最初は横に広がるかの様に見せておきながら、いずれも上に向かって伸びており、8本の立ち上る龍と見ることも出来る。このような樹形のアカマツ巨木は他に見たことが無く、特筆すべきものである。
それぞれの幹の途中には枝が殆ど無く、枝葉は頭頂部にのみ存在しているので、ドーム型の樹冠を形作っていると思われる。しかしながら、他の木々に阻まれて全体を観察することは困難である。薄暗い境内に生えているため、何ともいえない不気味な雰囲気があるのだが、実は周囲の樹木に非圧され始めていて、低い位置の枝先は枯れ上がってきている。このままでは非常な危険な状態であるので、枝張りにかかる杉はすべて除去すべきである。道路近くからはわずかに周囲の樹木の上に蛇王の松の樹冠が広がっているのが認められるが、このままでは埋没してしまうで有ろう。
 
なお、幹周りの6.88mという公称値は、分幹部の広がりを含めて強引に地上1.3mで測った値であり、根本の細い部分は５．０１ｍであった。太さという点では全国最大級とは言えないかもしれないが、この樹の持つ迫力というか、蛇王の名に相応しい雰囲気は、全国的にみても最も魅力的なアカマツの1本だと言えよう。２０１１
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