１２月の表紙
天空の松 秋田県 大館市 大滝温泉 十二支所 |
|
|
|
幹周５．３４ｍ（地上1.3mでは5.75m)、樹髙２４ｍ、枝張り２９ｍ、推定樹齢300年
以前、大滝温泉地域活性化協議会から「大きなアカマツがある」というメールをいただいていたので訪問したが、場所が全く判らない。突然で申し訳ないと思いつつ協議会に連絡すると、なんと会長さんが案内をしてくれるという。実は案内がないととてもたどり着けない場所であった。林道の様な道をしばらく行き、そこから徒歩で20分位登った栗林の中の空間にその松はあった。林の中を登り続けていると、やや明るい場所の存在に気づく、「おっ、何かあるな！」と感じた空間に、逆光宇ぎみのシルエットが現れる。巨木との対面の仕方としてはかなり感動的なシチュエーションである。会長さんの話によると、「この木はもともと「親松」と呼ばれていたのだが、観光的に名前を付けて売り出したい。蓬莱の松というのは正式名ではない。私は千手観音をイメージした。」とのこと、私も何か印象的な名前はないか考えていたが、日々の忙しさにかまけて忘れてしまっていたところ、後日、「天空の松」に決定したとのニュースが。逆光の中のシルエットは当に天空をイメージしたのを思い出し、いい名前だと感心した。なお、このアカマツ巨木の存在を、東北巨木調査研究会の「田子の小熊」氏に報告したところ、協議会とコンタクトをとっていただき、巨木の観察会や環境省へのデータ登録、マスコミへの情報提供等、いろいろと進展があったようでうれしい限りである。
アカマツの周りは刈り払われているが、これは最近の事らしい。栗林になる以前は草地だったのでは無いかと想像している。樹形からは単木として成長してきた印象が強い。根本は完全に1本であるが、３ｍ位で３本の幹に分かれ、左右に伸びた幹と直立する幹が一つの巨大な樹冠を形成している。幹の分かれる部分は相当に太く、目通り付近でも６ｍ位の太さがあるので、迫力は半端では無い。扁平な幹の形であるが、薄い方から見ても十分な迫力があり、巨木としての魅力も十分にある。
なお、下方から見上げたときには判らないが、実は山側の根元には大傷があり、腐朽も内部まで進行している状態であった。この傷は人為的なものであるが、影響は見かけよりも深刻であって中央の主幹の樹皮も浮き上がり、内部が枯死、腐朽している様である。何のための傷なのかは判らないが、大変残念である。位置、面積を考えると隣の幹や根によるフォローも難しい状況であった。現在は根元に籠巻きをして傷を覆い隠しているが、治療が困難である現実を考えれば、よいアイデアだと思われる。２０１１
 
 |
|
|
